AI導入がもたらす効果への期待についての考察

前置き

まあまあの期間を通じてITを使って業務を改善するという仕事をやっていまして、この中で人のAIへの期待感みたいなのが分かるようになってきた気がします。
それは人がコンピュータへ期待することと同値で、これを二つに分類できるのではないかという着想を得たのでここに記録します。

結論としては私の期待と多数の期待とがズレているという話です。

コンピュータへの二つの期待

期待1

コンピュータは複雑な情報処理ができる。これを活かそう

説明

論理は0,1という原子で構成されており、コンピュータはその原子を操作する。
よって原理的にはコンピュータはすべての情報処理問題を解決することができる、という見方。
(オタクのための注:チューリング停止問題みたいなやつは除く)

この人がAIに期待すること

  1. 人間にしかできなかった業務をAIが代用してくれる
  2. 人間には従来不可能だった複雑な業務をAIが実現する

この期待に答えるための課題

複雑な業務ができるAIをいかに開発するか(⇛作り込み)

期待2

コンピュータの情報処理コストがめちゃくちゃ安い。これを活かそう

説明

1万店舗の売上データを持っており、売上が一番の店舗を見つけなければならない。
熟練したビジネスマンが10分で処理した。一方コンピュータは1ミリ秒で処理した。
かかった費用は前者では少なくとも 最低賃金時給×1/6 = 150円くらい。
一方後者は計算するのもアホらしいが一応電気代を計算すると

0.5(kW) * 1/1000 * 1/60 * 20(円/kWh) = 0.00017 (円)

で実に900000分の1の費用で済んだ。
あと速度も600000倍になっている。
基本的にコンピュータに処理させるとタダ同然かつ一瞬で終わる。

この人がAIに期待すること

  1. 大量の業務をAIが処理してくれる
  2. 一瞬でAIが業務の成果を返してくれる

この期待に答えるための課題

大量にAIを使える業務を見つける(⇛使い回し)

ドラえもん

AIと言えばドラえもん、あなたはドラえもんが手に入ったら何をしたいでしょうか?

きつい仕事を一緒に手伝って欲しいかもしれないし、気分転換に付き合ってほしいかもしれません。
子どもの相手をしてもらえたら保育園なんかに連れて行く必要もなくなってしまい、仕事の効率も上がるでしょう。
家事もやってほしいな、手作り料理が得意なドラえもんがいい。など。

私がやりたいことは違います。
まずドラえもんを大量コピーする。100台くらい。
そして100台のドラえもんを地下室に閉じ込めて電話回線を繋いでコールセンターを経営するのだ。
疲れ知らずのソフトウェアは不平不満を言わず福利厚生も要求せず24時間正確に稼働し、ランニングコストは電気代のみの理想的なコールセンターになります。
(実際にはハードは要らないのでソフトだけ抽出し、クラウド上でドラえもん仮想マシンを100台と言わず負荷に応じて自由に増減させて運営することになるでしょう)

私の考え

つまり多くの人は期待1のような気がしていて、一方で私は期待2の人です。
そして大きな成功を収めるのも2なのではないかと思うのです。

これをITのスケーラビリティといいます。極端な低コストから自然に導かれる結論です。
成功しているIT企業はこのスケーラビリティを活かした企業ばかりです。
勝負はどれだけ使い回せるコードを見つけるかどうかで決まります。
世界中でほとんどの市民が毎日いや毎時間使うコードが最高で、それができたのがGoogleやAmazonなわけです。

これは経験則ですが、AIを使って業務改善するとき次の観点を持つことでパフォーマンスを上げられるでしょう。

  • 1日1回やっているこの業務をAIにさせたいと言われた。自動化してかつ1分1回に頻度を上げれば成果はさらに上がるだろうか?
  • 1日1回やっているこの業務をAIにさせたいと言われた。自動化してかつ24時間365日稼働させれば成果はさらに上がるだろうか?

結果的には1日1回は人間的制約でしかなかったのですが、誰もそこにボトルネックがあると気づいていないのですね。
また週末も年末年始も深夜も働き続ける人間はいません。(いるけど)

これをするとそもそも業務プロセスが根本的に変わったりします。
なんせ1日1回だったのが1分1回になるわけですから全く違う。

上の期待1の見方では既存の複雑な業務プロセスをシステム化しようとします。
もしくはさらに複雑で高効率な業務プロセスを実現しようとします。
期待2の見方では既存の業務プロセスを結果的に変えます。
より盤石になった情報インフラの上で単純作業から開放された人間がさらに創造的な仕事ができるようになることを期待するのです。

カテゴリー: AI