昔の話。肩をすくめるアトラス1部

最近本を読んでいて、ふだん僕はそういうことはないのだけど、鮮やかに、昔の記憶が思い出された。

高校生のときのこと。
その日の最後の授業が終わってみんなが教室から出ていったあと、僕は一人で残って何かの勉強をしていた。
その時期はまだ受験勉強が差し迫る前で、切羽詰まっていたというよりはただそれが気になっていて解決しなければならないと考えていたのか、下校時間になったにもかかわらずそれと格闘していた。

すると教室の窓の外から騒ぎ声が聞こえてきたかと思うと、誰かが扉や窓をガンガン叩き始めた。
うるさくて勉強は中断になる。
窓から見えたのは知らない顔で、たぶん別のクラスの連中なのだろう。
ただあんまりギャーギャーワーワーさわいでガッタンガッタン扉を叩きつづけるもんで、いったい何事かと思っていたら、そのうち彼らの表情や声から彼等の目的は僕なのだ、ということが分かってきた。
つまり彼らは僕の勉強の邪魔をしようとしていたわけだ。

誤解のないように言っておくと、僕はいじめられていたわけではない。
そもそも彼らと面識が無い。
そのため彼らは僕という人間に興味があったのではなく、教室で一人勉強している見ず知らずの人間が勉強しているのを妨害することが彼らの関心に違いなかった。

僕はその顔を見ながら不思議に思った。
なぜ、人の邪魔をするのだろうか。
僕達は高校生で、勉強することも自由だし、遊ぶのも自由だ。
カラオケに行くなり、ゲーセンに行くなり、楽しい遊びは世の中に溢れている。
一体何が悲しくてこんなところで人の勉強を妨害するなんてつまらんことで時間を浪費しなければならないのか。
僕は僕で好きなことをやって、あなたはあなたで楽しいことをやる、そのために生きている。
あなたの楽しいこととは僕の勉強を邪魔することなのか?
そんなくだらんことのために生きてるのか?

あまりに不思議だったため腹は立たず、ポカンとしていた。
けれどその後、その時の僕にはどれだけ考えても彼等の心がみじんも理解できなかったから、次のように誓った。

「僕は彼等のように、人の楽しみを邪魔することに楽しみを見出す人間にはならない。
そして今後の人生において、そのような連中を決して相手にしない。」

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