スマートコントラクトとはブロックチェーンの性質、
- 安定に稼働する
- 改ざんできない
- 価値を保存、移転する
を利用して、運用できると考えられている機能。
スマートコントラクトでは取引を、直接トークンを支払うのではなく、将来の支払い条件が定められたプログラムに合意する、という形で行う。
そのとき契約内容はソースコードになり、契約はプログラムにより機械的に執行されることになる。
伝統的な契約と比較して以下のような利点がある。
- 契約内容に解釈の余地が無いため、裁判は不要になる。
- 契約は必ず履行されるため、紛争はなくなる。
個人間の契約に限らず、社会制度の運用にも使えるだろう。
活用案
- 借金の契約。返済が滞ったらスマートコントラクトにより自動的に担保の所有権が移転される。
- 代理販売契約。たとえばA%は販売店、B%は芸能事務所、C%はアーティスト本人などと事前に契約し、音楽が売れたらスマートコントラクトが自動で振り分ける。
- 自動検収システム。入荷された製品が重要な検収条件(たとえば稼働率99%など)を満たしたら決済が自動的に履行される。
- 婚姻契約。結婚生活の継続を二人が合意できなくなるとスマートコントラクトにより自動的に財産が分割される
- 政府の公文書の公開。たとえば10年後に公開するべき文書はスマートコントラクトにより10年後に自動公開される
前回記事で書いたとおり、ブロックチェーンの弱点は処理が遅いことだが、裁判と比較すればはるかに早い。
『ある条件を満たせばカネを払う』というスタイルの制度はすべてスマートコントラクトに置き換えられる。
よって理論的には世のほとんどの社会制度がスマートコントラクトになることができるだろう。
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